カードワースを愛する人々よ。 冒険が大陸に轟くほどのレベルになっても、冒険を続けるプレイヤーたちよ。 情熱の炎を鎮めるためにシナリオを作り、そのために余計に情熱燃え上がらせるシナリオ作者たちよ。 心象に満ち満ちた世界を描いてみせ、多くの者たちを虜にしてきた素材作者たちよ。 驚くべき光の人たち。カードワースの世界は光に満ち満ち、十五年の時を経ても黄昏を見せることもない。 カードワースを愛する人たちよ。私もあなたたちの一員である! 私はあなたたちに伝えたい。 しかし、私の言葉はすでに自明のものだ。 何をいまさら、とあなたたちは思うだろう。 それでも私はあなたたちに述べる。 なぜならそれが自明のものであるからにほかならない。 礎であり自然法でありカードワースが今あるありのままの姿形で現出している、 その姿そのものである。 私があなたに伝える言葉はこうだ。 「カードワースは素晴らしい!」 私はこの言葉を恥も外聞もなく述べる! カードワースは素晴らしい、と。 冒険を愛するあなた。 はじめて冒険をしたことを思い出せるだろうか。 四苦八苦したうえ初めてシナリオをダウンロードし、人々が作る世界に初めて触れた感動を。 ギルドを訪れたか? 見よ、この莫大な冒険の世界を!  どれだけ歩き続けられる?  どれだけ心を発見できる。 無限ではないか!  それは単純なアイテム生成が無限だとか、シナリオのシークエンスが無限生成だとか、 そんな子供だましのゲームのレベルではない。 それは世界に没入する、その世界そのものが無限なのだ。 そこには私と同じように冒険に渇望する者たちが、信じられないほど気前よくも分けてくれた、宝の山脈だ。 初めてカードワースに触れた者よ。 初めて自分でダウンロードしたシナリオを遊んだ者よ。 やがてあなたは言うだろう。 ああ、カードワースは素晴らしい、と。 表現を愛するあなた。 初めて冒険の風景を形にしたことを覚えているだろうか。 空想を抑えきれず、初めてペンを走らせ描いたカードワースの世界の一片を。 音楽、効果音、そして背景、カード画像…そのどれもが 時間を掛け、情熱を注ぎ、あるいは嫌悪の上から努力を塗り重ね、得られた珠玉の作品であることに、 私は慄きすら覚える! この世界ではあらゆるものが、意匠を凝らし、愛情にあふれて、生み出されたものなのだ。 それがたったの路傍の草でさえ! 冒険を終えて身に付けたスキルも、荷物袋に残ったアイテムも、すべて!  さあ、冒険の途中なら、周りを見渡してみてほしい。 冒険を終え、休んでいるなら、その手に持ったものを眺めてほしい。 やがてあなたは言うだろう。 ああ、カードワースは素晴らしい、と。 私はシナリオ作者である。 私は思い出せる。 私が数々の冒険から得た感動に燃やされ、全力で坂を駆けあがるように作り上げた最初のシナリオを!  その達成感は大空のように澄み渡っていた。 そのシナリオは未熟さと情熱に満ちていた。 私は思い出せる。製作に苦しんだシナリオを。 ギミックは思うようにいかなかったし、思い描いていた冒険と違っていた。 もっと良いものになると信じていた。 どうしてうまくいかないのかと夜更けに悩み過した。 しかし、思い出してみれば、それが私の愛情を深くした。 いくつかの夜を越えて、私はいま述べている。 ああ、カードワースは素晴らしい、と。 シナリオ作者であるあなた。 あなたの表現しようとする世界だ。 戦士は強く、魔術師は賢く、盗賊は狡しく、踊り子は美しい。 山はあなたの理想を体現するように高くそびえ、海はあなたの悩みのように深く沈んでいる。 草原はあなたの想像するままに広大に広がっていて、そこに吹き抜ける風はあなたの心のように爽やかだ。 そしてその世界の先に自分の片隅をちょっとだけ残すのだ。 誰かに何かを伝えるためか、 それとも自分の何かを確認するためか。 誰がその世界を歩くのか。 だれがその世界を踏みつけにするのか。 それはあなたは知らない。 それでも誰かと何かを共有しないわけにはいかない。 あなたのシナリオが私にこう述べている。 ああ、カードワースは素晴らしい、と。 長く冒険を続けてきた者たちもいるだろう。 その中で道に迷ったり、冒険をやめてしまったものもいるだろう。 しかしあなたは帰ってきた。 カードワースの世界は衰退を知らず、ますます盛んに光り輝いていて、その輝きからあなた方は目をそらせなかった。 長く素材を作り続けてきた者たちもいるだろう。 その中で思うようにいかず、自分で生み出したものを破り捨ててしまったものもいるだろう。 しかしあなたは作ることをやめなかった。 カードワースの世界を、あなたの世界を表現することが、間違いなく価値があったからだ。 長くシナリオを作ってきた者たちもいるだろう。 その中で自分に問うたはずだ。 この企みはうまくいくのだろうか。 価値がないのではないか。 しかしあなたは作った。 間違いなく、本当に、紛れもなく、逃げ隠れもせず、生み出そうとしたのだ。 カードワースに触れると、私の顔はほころぶ。 胸は感動に震え、心は確信に貫かれる。 私の冒険者は強く、気高く、美しく、傲慢で、弱く、品がなく、醜く、自己犠牲を厭わない。 私の冒険者は自由だ。 私の冒険者は何物にも縛られない。 私は何度でもシナリオを遊びたいと思う。 カードワースを開きたくなる。 その冒険絵巻を。 それは何故か。私は考えているが、それはもう価値があるからという答え以外に見つからないことに気が付いた。 私は知っている。 あなたも私と同じでカードワースが好きだ。 だから私はあなたに言いたい。 カードワースは素晴らしい、と。 今、確信しないことがあろうか?  カードワースが素晴らしいものであることを。 そうだ。 私はあなたに真実と偽りの見抜き方を教えよう。 すなわち、カードワースが素晴らしいと述べているものが真実だ!  カードワースを素晴らしくしているものが真実だ。 カードワースを意味もなく縛ったり、 もっともらしいことを述べて踏みつけにしたり、 臆面しこそこそと恥じらっているものは、 私が請け負おう。間違っている。 偽りだ。意味のないたわごとか、歪んで哀れな劣等感だ。 私の言葉を述べたけれども、本当のところはあなたの心が知っているのだ。 よしんばあなたがあなたの心に確信を持てなかったとしても、 カードワースが、それ自体が、その価値を証明している。 あなたが大事に持っているシナリオ。そのシナリオは面白いに違いない。 背景がその世界を広げ、カードがその世界を彩っているに違いない。 音楽はあなたが辿る心の軌跡にやさしく沿っているし、様々な工夫が凝らされているに違いない。 あなたの愛する冒険者が、かっこよく、可愛らしく、強く、くっきりと浮かび上がり、 あなたはその中で楽しんだり悲しんだり、怒ったり笑ったり、安らいだり興奮したり、しているに違いないのだ! 私は当然のことを述べている。 すでに知っていることをもう一度述べているに過ぎない。 あなたは私を滑稽に思うだろうか。 何を当然のことを、と。 それでも私はあなたに伝えたい。 そして確信したいのだ。 その価値を。 実感を。 確信を。 さあ、私はこの言葉を恥も外聞もなく述べる! カードワースは素晴らしい、と。